生活習慣病には、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症(痛風)などがあります。
いずれも過食や偏食、運動不足、嗜好品(タバコ・お酒など)の摂取過多といった生活習慣の不摂生が主な原因となって起こる慢性疾患であり、生活習慣を見直すことによって予防・改善できる部分の大きいのが特徴です。
自覚症状が無くても早めの対策を
生活習慣病は、一つ一つは軽症でも、いくつもの疾患が重なることが少なくありません。
そして、重なることによってメタボリックシンドロームとなり、動脈硬化(動脈が硬くなって弾力性を失うこと)を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患に結びつき、取り返しのつかない状況にもなりえます。
たとえ自覚症状が無くても、早めに生活習慣病を改善しましょう。
基本的には、生活習慣病はいずれの病気であっても、生活習慣の改善、特に食事療法ならびに運動療法が治療の中心になります。さらに必要に応じて、薬物療法も併用します。
こんな方に受診をお勧めします
- 健診などで検査数値の異常を指摘された
- 40歳以上である
- 20歳の頃より体重が10kg以上増えた
- タバコを吸う
- お酒をよく飲む
- 清涼飲料水を常飲している
- 日頃あまり運動をしない
- 車を利用することが多い
- ストレスが溜まっている
- 睡眠時間が十分でない
- 食生活に問題がある
生活習慣病の代表疾患
糖尿病
血糖値の数値が慢性的に高い状態を糖尿病と言います。血糖とは血液中に含まれるブドウ糖のことで、その濃度を現す数値が血糖値です。血糖値は、通常であれば膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンが機能することでバランスが保たれています。
しかし、何らかの原因でインスリンの分泌量が不足したり、量が十分でも作用不足を起こしたりすると血液中のブドウ糖を細胞にうまく取り込んで血糖をコントロールできなくなり、血糖値は常に高い数値のまま維持(高血糖状態)されるようになります。これが糖尿病です。
糖尿病の症状は、初期には症状がなく、進行すると口渇や多飲、多尿、体重減少、倦怠感などが出てきます。糖尿病の発症には自己免疫や遺伝的要素、他の疾患、薬剤に起因するものなどがありますが、多くの場合、食生活や運動不足、肥満などに起因します。
発症後は合併症を防ぐ
血糖値の高い状態が常に続くと、血管内皮を損傷させ動脈硬化が進むようになります。さらに進行すると細小血管や神経が障害を受け合併症(糖尿病三大合併症である、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害 など)を発症するようになります。また大血管で障害が起きると脳卒中や心筋梗塞を招くようにもなります。さらに免疫力も低下するので感染症にも罹りやすくなります。
そのため、糖尿病の発症が確認されたらまず合併症を起きないように血糖のコントロールに努めることが大切です。ただ初期症状がほぼ見られないので、なかなか早期に治療することは難しいです。しかし健診などで行う血液検査で、血糖値やHbA1cの値が高いと指摘を受けたら糖尿病が疑われますので、一度ご相談ください。
治療について
糖尿病を完治させるのは根気が必要で、治療には長い時間を要します。重要なのは、血糖値をしっかりコントロールして、合併症を防ぐことにあります。
たとえ糖尿病を発症したとしても、生活習慣を見直し食事療法、運動療法、薬物療法を適切におこなって良好なコントロールを達成できれば合併症の発症や進行を抑制でき、健康な人と変わらぬ一生を送る事が出来ます。
高血圧
血圧とは、心臓から血管に血液を送り出す際にかかる圧力のことを言います。これが高い状態が高血圧です。
血圧測定時は、収縮期血圧(心臓が収縮して血液を送り出した際の血圧で最高血圧とも呼ばれる)と拡張期血圧(心臓が拡張して血液が心臓内に戻ってきた際の血圧で最低血圧とも呼ばれる)を測ります。目安として、外来時の測定で最高血圧が140mmHg以上で、最低血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
症状について
高血圧では、稀に頭痛やめまいなどが起こりますが、多くの場合は自覚症状が現れません。そのため放置されやすく、気づいていない間も心臓から血液を血管へ送り出す際に高い圧力が常に加わるようになるので、血管壁は損傷を受け続け、これが動脈硬化を招きやがて合併症(脳卒中、心臓病、慢性腎臓病 など)が起こるようになるのです。自覚症状はなかったとしても、健康診断の結果などで血圧の数値が高いといったような指摘を受けた場合は、受診するようにしてください。
主な原因
なお高血圧には、原因が特定できない本態性高血圧と別の病気が原因で血圧が上昇する二次性高血圧に分類されます。患者様の多くは本態性高血圧で、特定できないとされていますが、食事の際の塩分の過剰摂取、嗜好品(タバコやアルコール)の摂り過ぎ、日頃の運動不足、肥満、遺伝的要因などが考えられています。
治療について
高血圧の場合に最も大事なのが食事療法であり、なかでも減塩に努めることです。1日の食塩摂取量は6g未満とし、これを厳守しながら栄養バランスのとれた食生活を行うようにします。
また、運動不足の方は適度な運動(1回30~60分以上、週に3回以上の有酸素運動)を継続的に行いましょう。
薬物療法による治療が必要と判断した場合は、降圧薬を服用します。使用する薬については1つで良い場合もありますが、いくつか組み合わされることもあります。
脂質異常症
血液中にある脂質(LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライドなど)など)の濃度が慢性的に高い、もしくはHDL(善玉)コレステロールが少ない状態を脂質異常症と言います。
自覚症状に関しては、糖尿病は高血圧と同様にほぼ現れません。多くは健康診断などの血液検査で血液中の脂質成分に異常な数値が見られたとして気づくことがほとんどです。
原因について
そもそもコレステロールは体に必要なもので、細胞膜、ホルモン、胆汁酸をつくる材料になるものです。これが過剰になると血管内に蓄積されるようになり、やがて動脈硬化を招くようになります。さらに症状が進むと血管内が詰まるなどして、脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまいます。
脂質異常症を発症する原因として、普段の食生活があります。過食であるとか、動物性脂肪や高カロリー食の摂り過ぎなどです。また、運動不足や肥満、遺伝的要因なども考えられます。このほか、糖尿病や高血圧、腎臓病、甲状腺機能低下症など、他の病気が原因で発症することもあります。
治療について
生活習慣の改善(食事療法、運動療法)と薬物療法があります。
食事療法に関しては、脂質異常症のタイプにより改善方法が異なります。高LDL(悪玉)コレステロール血症であれば、動物性脂肪を含む食品やコレステロールを多く含む食品を減らし、食物繊維を多く含む野菜や海藻、きのこ類を摂ることでコレステロールを蓄積させないようにします。ちなみにたんぱく質を摂取する場合は、青魚、大豆製品、鳥のささみなどにします。また、高トリグリセライド(中性脂肪)血症であれば、糖質の多い食品やお酒を控え、摂取エネルギー(カロリー)を適正にします。
運動療法については、無理のない軽度な運動(ウォーキング、体操、水泳などの有酸素運動)を可能であれば毎日30分以上行うようにします。このほかにも、休暇や睡眠を十分にとる、禁煙するといった生活全般を見直すようにしてください。
上記のような改善方法だけでは効果がみられないのであれば、コレステロールや中性脂肪を低下させる薬物療法が行われます。
高尿酸血症
血液中にある尿酸が多くなっている状態を高尿酸血症と言います。尿酸は血液中では、水分に溶けにくい性質であることから尿酸塩として存在し、多くなり過ぎると針状の結晶となって関節付近に留まるようになります。これが痛風です。それでも放置をさらに続けると、脳血管障害、心疾患、腎障害、尿路結石といった病気が合併症として現れるようになります。
原因について
尿酸値が高くなる、いわゆる尿酸が増える原因ですが、尿酸の元となるプリン体を大量に摂取(レバー類、アルコール、魚卵、かつお、えび、かにみそ など)している、先天性代謝異常症や造血器の病気などによって尿酸の産生が増加している、尿酸の排泄が遺伝的要因や腎臓機能の低下などにより悪くなっているといったことが挙げられます。
治療について
治療で最も重要なのが尿酸値を下げることです。そのために欠かせないのが生活習慣の改善です。具体的には、食事療法や運動療法になります。食事療法では、プリン体を多く含む食品の摂取を控えめにし、バランスの良い食事(野菜、海藻、きのこ類 など)を摂る、早食いをしない、規則正しい食生活を送る、尿酸値を上昇させないように禁酒・節酒を行うなどです。運動療法については、無理のない適度な有酸素運動(ジョギングや水泳など)を1日30分ほど行うようにし、できれば毎日行うようにしてください。
このほか、水分をしっかりとって尿量を増やし、尿と一緒に尿酸を排泄するようにします。
また上記の治療法に併せて、尿酸の生成を抑制する薬や尿酸の排泄を促す薬などを用いることができます。
- 院長
- 続 敬之(つづき けいし)
- 診療科目
- 内科、呼吸器内科、アレルギー科
- 住所
- 東京都足立区足立1-12-12 足立メディカルモール2F
- アクセス
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